NEVER LET ME GO

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最近、クローン技術や臓器移植などの事をTVや書物で見聞きする事があると、
どうしても脳裏に強烈な嫌悪感と共にある小説の事が蘇ってしまう。
数年前に英米でベストセラーになった小説「私を離さないで」
NEVER LET ME GO_カズオ・イシグロ



解説(配給会社解説より)  イギリスの文学賞・ブッカー賞受賞作家カズオ・イシグロの小説を基に、傷つきながら恋と友情をはぐくみ、希望や不安に揺れる男女3人の軌跡をたどるラブストーリー。

『17歳の肖像』のキャリー・マリガン、『つぐない』のキーラ・ナイトレイ、『大いなる陰謀』のアンドリュー・ガーフィールドといった若手実力派スター3人が豪華共演。

詩情豊かでみずみずしい映像と、ドラマチックな展開の果てに待ち受ける衝撃と感動を堪能したい。



あらすじ 外界から隔絶された寄宿学校ヘールシャムで、幼いころから共に日々を過ごしてきたキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)。

普通の人とは違う“特別な存在”として生を受けたキャシーたちは、18歳のときにヘールシャムを出て、農場のコテージで共同生活を始める。



小説を読んですぐに映画化のアナウンスを知り、一年ほど待って初日に北天神のミニシアターにも行った。 ″介護人″キャシーが″提供者″達の世話をしていた頃の記憶を静かに思い返していくストーリー…



ちょっとした事前情報を知ってこの映画を見れば、この2つのキーワードだけでも相当な想像力を掻き立てられると思う。



先に小説を読むと、映像で表現されたそれは、いつも物足りなくて残念なケースが多いけど… この映画は、とても奥深く巧妙に仕上がっていたと思う。



この話は、青春物とか、ラブストーリーと評される事が多いけれど、見方によってはとてつもなく深い哲学を孕んでいる。



そこにはもっとも大切な "命" や "人間" についてが描かれていて、私たちは受けとるものがたくさんある。 単なる"物語”として通過するにはとてももったいない深い深い話…





※マークからネタばれ※で終わりますので まっさらで挑みたい方は※まで読まないで下さい!





※※※※※※※※※※※※※



簡単に言うと〈提供者〉とは特定の個人が自分の病気の際に手っ取り早く臓器提供で治療するために、あらかじめ相応の投資によって自分の遺伝子から作らせたクローン人間のことである。



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驚く事に未来ではなく過去1970年代という設定に於いて裕福な人たちは、今日の生命保険よろしく自分の健康の危機に備えて、絶対に拒絶反応の起こらない臓器の為に、1個の人間をこの世に産み出し、 そしていざというときに、情け容赦なくそこから取り出した臓器を利用するのである。

さらに残酷な事に〈介護人〉とはその提供者の中から選ばれる、提供人間の世話役であり監視役のことなのだ。

生まれながらに”option”として長閑な田園にひっそりたたずむ寄宿学校ヘールシャムという閉鎖的な空間の中、

毎週行われる異常なまでの健康管理と健康診断… 子供達はヘールシャムの敷地から外に出ることを固く禁じられ

〈外の世界は恐ろしく危険で禁止を破り外に出た生徒は帰ってくる事はない…〉

という伝説が巧妙に囁かれ

子供達は″特別な存在″という白々しい言葉と、巧みな操作様々な刷り込みと共に育て上げられる。



心を痛めた末、授業中に生徒達に真実を告げるルーシーという教師も登場する。



「あなた達はオリジナルと呼ばれる人達の為の

″特別な存在″で提供を一回するだけのものもいれば大体最高で三回も提供する優秀な提供者もいる… そして何度かの提供をしコンプリート〈終了〉し″完了″するのよ」と…

それを聞いてもなお脱走や抵抗を知らない子供達。

ヘールシャムでは子供達に作品なるものを執拗に作成させ、優秀な作品だけは「ギャラリー」という場所に保管されると彼らは信じている。 週に何度か、その優秀な作品と引き換えに使い古しの服やボロボロの人形、おおよそ普通では喜ばない品々を喜んで宝物にする子供達…

巧みな引換券…

平均寿命100歳の世界…

クローンは平均の数にさえ入らない。

クローンの人権など完璧に無視した信じ難いほどモラルの欠如したオリジナル達(ノーマルな人間)

提供をして生き延びても更に次の提供をし続けなければならない過酷さ。

コンプリート(終了、完了)する日まで…

日に日に衰弱していく仲間達… そんな酷い現実から逃げる如く、幼い頃にギャラリー内で優秀な作品を残したトミーはその作品の高評価により、執行猶予が与えられると信じ込み、 その僅かな望みを支えに生きていく…

しかし、その実態はクローンに魂が存在するか否かを見極める単なる研究、実験に過ぎない。

しかもクローンに魂は無いと、どこかの

学者が既に決定、決断していて望みなどないと…

無慈悲なまでの元校長の説明、そしてかわいそうに…という憐れみの言葉…

全て絵空事で望みや希望など最初からなかった事を知り失意と絶望の中、取り乱し泣き叫び苦しむトミーの姿…

トミーの終了をなす統べなく見守るキャシー

それはあまりにも無為で真っ暗な彼らの短い人生に、ほんのり灯ったろうそくの炎のようだった オリジナルと呼ばれる、

提供をうける普通の人間が存在し、自分達の役割に気づいてもなお洗脳された思考で彼ら曰く、その”使命”を果たす為だけに生きる。 使命が終わると”終了”なのに…

彼らが織り成す様々な 表現が、あまりにも見ていて悲しく切なくやるせない



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最後に失くしたものが集まる美しい場所へ一人訪れるキャシー…… それをバックにナレーションは流れ、遂に臓器提供の召喚が彼女にも来た事を告げられる…



※※※※※※※※※





まず言っておきたいのはクローン技術や臓器移植手術などの善悪に言及するつもりはないという前置きの上で、私が感じるのは…

この物語にはハッキリと断定できる悪についてはその実態も端緒も描かれてはいない。



作者や監督が投げ掛けている題材は、あらゆる日常に孕んでいる、知らず知らずのうちに自分以外の他者から何かを搾取しようとする悪意…

現代社会では血の繋がった親子関係にさえ、それが存在したりもする事への警鐘の様に受け取られて仕方なかった。



主人公のキャシーに対して、ラストシーン間際に私は

「自分の中にもとからあった声、哲学、力を思い出して!そして逃げて!」

そう叫びたくなる衝動に駆られると共に、

この物語は"私の中”にインストールされた大事な作品の1つになった。

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無題

映画になった時、なんとなく薄らと、この映画記憶にあるような気がする。
アクションものが、大好きだから、スルーしたと思う。
人間偏っちゃうよね・・・ダメよね・・・。

サージと酵素、また、Arisaさんの紹介って、言って頼みました。
ごめん、事後報告で・・・。



  • oldオードリー
  • 2013/08/05(Mon)13:04:54
  • 編集

そうなんです…

私を~は、わりとコアな内容のせいか大々的に宣伝なっかったですもんね…

小説でも映画でも哲学系のものに興味をそそられますね。

だからって、アクションものが″嫌い″ってわけでなく結構幅広く受け入れます♪

ちなみにTV番組で見たというのは
犬のクローン技術云々の話でした…

飲み終えたんですね♪
報告など気にしなくて大丈夫ですよ(^^)/
  • Arisa
  • 2013/08/05(Mon)14:44:13
  • 編集

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